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第37回日米財界人会議共同声明(仮訳)

2000年7月11日、東京

第37回日米財界人年次会議は、日米経済協議会および米日経済協議会(以下「両協議会」)から90名のビジネスリーダーが出席して開催された。日米の経済関係に関する広範囲な議題が討議された。
この共同声明は、ますますグローバル化する経済の下、共通のルールとメカニズムに立脚した、競争と市場が主導する経済成長を、両国参加者が強く支持することを表明するものである。
両国参加者は、両協議会の活動が、通商問題から競争へ、対話とコンセンサス重視から変化に向けての共同ないしは単独での行動と作業へ、そして日米の政策立案者との直接の対話へとシフトしてきていることを確認した。

1. 日本経済
両協議会は、日本経済が回復の兆しを見せているものの、自律的かつ内需主導の回復を確実にするための、抜本的な構造改革の速やかな実行が、極めて重要であることを認識する。
この実現に向けて、流通システムの改善、効率性の向上と産業の再活性化に向けた規制改革の推進や透明性の向上、雇用の流動性、および、特にITやベンチャー・ビジネスといった新たな産業・技術・ビジネスの発展などに関わる官民の努力が極めて重要である。
2. 米国経済
両協議会は、ITが米国におけるニューエコノミーの発展を推し進めていること、そして、米国経済の持続的な力強い拡大が世界経済の安定を支える上で大きな役割を果たしているとの認識で一致した。両協議会は、ハードランディングの懸念を回避するために、米国の金融当局が適切な政策を遂行し続けることを希望する。
3. 一層の構造改革と規制緩和
規制緩和と構造改革の重要性に鑑み、日米両国政府は1997年に「日米間の強化された規制緩和イニシアティブ」を開始した。過去3年間にわたり、本イニシアティブのもとで大きな成果が得られた。さらに、本イニシアティブは二国間の通商問題を双方に利益をもたらす枠組へと転換する建設的なメカニズムとなった。
したがって、両協議会は、両国政府に対し、この「日米間の強化された規制緩和イニシアティブ」を継続することにより、規制緩和と競争政策についての協同作業を継続するよう強く求める。
4. 日米租税条約
両協議会は、1971年に締結された日米租税条約の再交渉をそれぞれの政府に対し強く求めることに合意した。グローバル化と電子商取引の時代において、再交渉は必要不可欠である。
両協議会は、2001年4月1日に始まる日本の次期会計年度中のできるかぎり早い時期に条約を改定するための正式交渉を奨励する。
5. 電気通信分野における競争の強化
両協議会は、日本における相互接続料の実質的かつ早急な引下げを支持する。両協議会は、電気通信料金の引下げが情報技術の発展を促すことを認識する。料金の引下げは、日本人、海外諸国、企業、消費者に多大な恩恵をもたらすものである。
両協議会は、両国における地域通信サービス市場のあらゆる側面において競争を促進することの重要性を認識する。これは電気通信の全ての利用者に対し、より低廉な価格をもたらす。
6. 年金改革
日本政府は、年金改革において重要なステップに着手しつつある。両協議会は、高齢化が進む日本社会のニーズを満たすような維持可能な年金制度を確立するために、このプロセスを継続することを日本政府に強く求める。
両協議会は、相互の利益を明確にし、取るべき行動を勧告するためのスタディ・グループをなるべく早く設置することに合意した。
7. 金融サービスの改革
金融サービスにおける規制緩和には大幅な進展が認められるものの、両協議会が銀行、証券、保険商品の規制に関わる一層の自由化を討議し続けることが重要である。
8. 自動車産業対話
産業間の自動車対話の継続が合意された。米国側協議会は現行協定の更新がこれらの対話に適切な枠組みを与えることを推奨する。
9. 電子商取引とサイバー・セキュリティ
両協議会は、過去1年間の電子商取引促進に関わる政策の進展をレビューした。両協議会は、政府による新たな立法や規制を極力回避し、産業界と市場が主導する自律的な努力の枠組みが最も成長に資するものであることを再確認した。
両協議会は、サイバー犯罪の脅威、そして、サイバー社会における脅威や、最適な慣行についての情報を共有するための仕組みを政府と協同で産業界が構築することの必要性、などを強調する共同声明(添付)を発表することに合意した。
10. クレジット・カード不正使用
両協議会は、日本において大きな問題となりつつあるクレジット・カードの不正使用問題についての過去1年間にわたる日本政府の前向きな努力を評価する。両協議会は、日本政府がカード不正に対処する、特に総合的な法的枠組みの改正などの努力を継続することを期待する。
この犯罪の国際的性格に鑑み、両協議会は、カード不正使用に対する他国政府との協力関係の強化を日本政府に強く求める。
11. ビジネス機
両協議会は、日本のビジネス機に関する政策と慣行は、諸外国に比べ遅れていることを認識する。東京国際空港(羽田)及び新東京国際空港(成田)における運行スロットを確保する手続きは、非常に複雑であり、事前通知の必要事項は簡素化される必要がある。
さらに、日本はハブ空港の設置を目指す必要があり、両協議会は成田空港の更なるアクセスの改善を求める一方、世界の他の国際空港と同様な条件での国際および国内ビジネス機の羽田へのアクセスを求める。
12. ビジネス・プロセス特許
両協議会は、日、米、EUの特許当局間においてビジネス・プロセス特許が電子商取引の開発、進歩、発展に与えるインパクトについての議論を行っていることを理解する。
両協議会は、各国政府が電子商取引の健全な成長を担保するための国内法制及び国際的な義務に関わる討議を継続することを支持する。
13. 電子政府
IT革命は経済の強化と企業の変革の機会をもたらす。両協議会は、電子商取引の発展の促進に各国政府が前向きかつ大きな役割を担っていることを認識する。
したがって、両協議会は、それぞれの政府が政府省庁内において早期にITを活用することや、全ての市民が、開かれた、効率的な、ユーザー・フレンドリーな電子政府の恩恵を受けることを確かなものとするような規制緩和などの政策を追求することを支持する。
14. WTO
両協議会はWTO新ラウンドの早期立ち上げを強く求める。両協議会はCSI(米国サービス産業連盟)、JSN(サービス貿易自由化協議会)及びESF(欧州サービスフォーラム)によって現在進められているサービス産業に関わる対話を支持し、支援する。
15. ダンピングと制裁
ダンピングと制裁の問題について討議を行い、両協議会は開放市場と公正な競争を確実にするための討議を継続することに合意した。
16. 二国間貿易と投資
規制緩和と開放市場の促進に関わる日米間の現在の活動に重点を置きつづける一方、貿易と投資の増大が相互の利益となることを認識し、両協議会のリーダーは両国間の貿易と投資を拡大するためのオプションを検討する。
16. 二国間貿易と投資
規制緩和と開放市場の促進に関わる日米間の現在の活動に重点を置きつづける一方、貿易と投資の増大が相互の利益となることを認識し、両協議会のリーダーは両国間の貿易と投資を拡大するためのオプションを検討する。

付属文書

・サイバーセキュリティとサイバー犯罪

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