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第38回日米財界人会議共同声明 (仮訳)

2002年2月18日、ワシントンD.C.

日米経済協議会と米日経済協議会(以下、両協議会)は第38回日米財界人会議において、不安定な世界経済の中で日米両国が経済大国としての重大な責務を有するとの共通認識を持った。
したがって両国は、(1)国民と市場の信認を取り戻し、経済回復をもたらすために必要とされる政策と手段の実行と、(2)セキュリーティー・リスクの高まりや反グローバリゼーションの動きが出てきている中で、貿易と投資の自由化を促進するための多国間協力の主導とともに、国内市場の開放性の維持により、両国の責務にふさわしいリーダーシップを発揮すべきである。

米国経済
多少の下振れリスクはあるものの、米国経済には軽いリセッションから既に抜け出しつつある兆しが見られ、本年後半には経済成長は加速し始めるであろう。これは、米国の景気後退の主因となった民間設備投資の急激な落ち込みの影響を打ち消す対策として実施された財政金融政策、予想外に安定した個人消費、そして米国企業の基礎にある生産性とリストラクチャリング努力によるところが大きい。
しかしながら米国側協議会は、米国の景気回復は従来のものに比べて緩やかなものになり、米国の需要が世界のその他諸国の経済成長の唯一の源として働くことは短期的にはありそうもないと考えている。
日本経済
日本経済は再びリセッションにあり、デフレーション、失業率の上昇、巨額の公的債務や不良債権、不稼動資産処理の遅れに対する懸念が、両協議会の中でも高まっている。さらに両協議会は小泉首相による経済改革の方向性を支持するものの、重要な施策を実行するという困難ではあるが必要な決定が遅れつつあることに強い懸念を有する。このような遅延の代償は高い。
したがって両協議会は、日本のリーダーが日本経済を持続可能な成長軌道に戻すための緊急かつ大胆な行動を起こすことを強く求める。競争と民間活力の強化を目指した構造改革の具体策をいち早く実施に移すことが特に重要であり、これにより生産性と資産の収益性は向上する。最も必要とされていることは、
・経済全般にわたり、市場原理に基づいた規制改革を加速し、政府機関も含めた全ての企業が対等に競争できる条件の実現。
・不良債権、過剰債務問題を解決し、不良資産をタイムリーに処理するための十分な規模の包括的な施策の実施。
・企業のリストラクチャリングの促進。長期化する設備過剰を軽減し、デフレ圧力を緩和させるために改正商法などの法的な仕組みの幅広い活用を含む。
・景気を刺激し民間のイニシャティブを促進するための現行税制の見直しと改正。
成長のための日米経済パートナーシップ
両協議会は日米両国経済の活力に強い利害関係を有することから、経済改革に取り組んでいく中で日米の企業が中心的役割を果たすと認識し、「成長のための日米経済パートナーシップ」において両国政府とともに行動していく。
特に両協議会は、日米官民会議において検討される優先課題の設定に向けて民間側メンバーと緊密に協力していく。
コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスの改善は企業のリストラクチャリングと経済成長のための不可欠な要素であると認識し、両協議会はコーポレート・ガバナンスにかかわる活動を拡大することに合意した。
WTO
両協議会はWTOドーハ閣僚会議にて決定された作業計画を支持し、2005年1月1日までに有意義な交渉結果を得るのに必要とされる強力なリーダーシップと柔軟性を、日米両政府が発揮し続けることを強く求める。
地球気候変動
両協議会は地球環境を保全するため、先進国と発展途上国の双方が参加する効果的かつバランスのとれたアプローチの重要性を再確認した。両協議会は、ブッシュ政権が今般発表した温室効果ガスの排出抑制政策の詳細な検討を含め、気候変動問題についての理解を深める努力を続けることとした。
日米租税条約
両協議会は1971年日米租税条約の正式な改正交渉の迅速な完了をそれぞれの政府に強く求める。グローバル化と電子商取引の時代にあって、条約改正は不可欠である。両協議会は条約の署名に向けて、1年以内に正式交渉を完了することを勧奨する。
情報通信技術
日米両国において情報通信技術(ICT)により生産性が飛躍的に向上したとの認識のもとに、両協議会は、ICTへの投資、加速されたブロードバンド基盤整備、費用の安いブロードバンド・サービス、及び魅力的なアプリケーション、コンテンツの発展に主導された経済成長の新時代を生み出す事を追求する。
両協議会は、競争、オープン・スタンダード、規制の抑制、ならびに投資、技術革新、消費者需要を促進する政策により、この目的の達成を求める。さらに、デジタル環境における知的財産権について、すべての利害関係者、即ち、権利保有者、サービスプロバイダー、機器製造業者、及び消費者間の利益のバランスを考慮した知的財産権の強い保護を支持する。

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