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第41回日米財界人会議共同声明 (仮訳)

2004年11月15日、東京

日米経済協議会並びに米日経済協議会(以下、両協議会)は、両国の政府および経済界が自由で開放された市場の必要性を再認識すると同時に、景気回復の持続を確実にするために行動すべきであることで見解を一致させた。

米国経済
米国景気は年初より減速してきたものの、大規模減税や低金利など積極的な財政金融政策によってもたらされた底固い景気回復に、両協議会は勇気づけられている。在庫水準は低く、最終需要は安定、輸出も増加していることから、堅調な生産が続くだろう。生産性の伸びは、持続的な景気拡大をもたらす。しかし、雇用の伸びが過去の回復局面に比べて鈍く、景気拡大のピッチを抑制する可能性がある。それゆえ、原油価格の上昇が、企業や消費者のマインドに悪影響を与えるリスクを見守る必要がある。
両協議会は景気拡大のために米国政府がとった柔軟な政策を評価する。しかし、膨大な経常赤字および財政赤字が、ドル安と長期金利上昇をもたらす可能性に留意すべきだ。したがって、米国政府が主体的に長期的な財政赤字の削減と貯蓄率の改善に務めるよう、両協議会は促したい。
日本経済
日本経済は年初から減速しているものの、両協議会は堅調な景気拡大を歓迎する。今回の景気拡大においては、当初の牽引役は輸出の回復であり、その後、設備投資と個人消費の拡大が続いた。今後、主として海外景気の減速によって日本の景気拡大は鈍化するとみられるが、中長期的には安定した成長が見込まれる。
民間部門の構造問題-主として過剰債務・過剰設備・過剰雇用-は痛みを伴う自助努力によってほぼ解消した。不良債権処理の進捗により、金融システム不安が再燃する懸念はない。賃金上昇が安定的になってくれば、日本経済はデフレ状態から確実に脱却することになろう。
両協議会は財政金融政策における日本政府と日銀の密接な協調を評価する。政府には、さらなる規制緩和と税制改革によって、デフレの解消と内需主導型経済への移行加速を目指すことが期待される。両協議会はまた、政府に対し、歳出の柔軟性と効率性を高め、民間部門の活性化を通じた歳入増を図ることにより、民間部門の成長抑制要因となる財政赤字を削減するよう促したい。
外国直接投資
両協議会は、日本政府が表明した「5年で累積対日直接投資(FDI)を倍増するという目標」を引続き支持する。両協議会は、先進国間でのFDIの太宗を占めるM&Aを含むFDIに対する日本人の認識や対応を改善しようとする小泉首相、経済産業省、JETRO他による努力を賞賛する。両協議会は、2000年4月1日より日本企業間の株式交換で課税の繰延が可能となったことにより国内のM&Aが実質的に増加したことは、この新しい実用的なM&A形態の採用が日本に於ける市場慣行やM&Aに対する認識に良い影響を与える事を明確に示しているものと考えている。
両協議会は、対日投資会議や対日投資促進民間フォーラムによるグリーンフィールド及び国境を越えたM&Aに対する投資環境改善のための具体的な提言を支持し、提言、中でも商法と税制改正の早期実施を要請する。日本の商法の改正により、2006年4月に国境を越えた三角合併が導入されることが期待されているが、関係する必要な法律、会計、税、その他の実務的な運用上の諸課題が解決され、三角合併が実用的となり、FDIに好影響を与えるものとなるよう両協議会は要請する。最後に、両協議会は、日本のビジネス環境に適したFDI促進の為のその他の方策の実現を推奨する。
公的金融改革
両協議会は、日本政府が日本郵政公社、特に公的金融機関である郵貯・簡保、の改革を進めるべく努力している点を歓迎する。しかしながら、両協議会は、郵貯・簡保の民営化及び改革の項目や条件の検討に際しては、特に郵貯・簡保の当初の設立趣旨が民間セクターによるサービスの補完であることを踏まえ、日本の金融サービス市場に対する競争上の影響を考慮しなければならないと考える。実際、民間セクターの金融サービス提供者が全国であらゆる金融サービスを消費者に提供していることから、郵貯・簡保が日本国民一般にユニバーサルサービスを提供し続ける必要はなく、本来的には廃止されるべきである。
郵政改革の結果如何に関わらず、民間セクターと新会社との間に公正な競争条件を設け、民間セクターの競合他社に課せられる規制と整合的な方法により新会社が管理されることが必要不可欠である。したがって、両協議会は、日本政府に対し、以下の内容を再度要請する。
・郵貯・簡保の商品に対する政府保証を廃止すること
・民間セクターと同様の税負担を適用すること
・金融庁の監督下に置き、民間と同じ規制を適用すること
・準備期間を含め、郵貯・簡保と民間の競合他社との間に公正な競争条件が確立されるまでは、郵貯・簡保が、現在提供している商品の範囲を超えて新商品の引受け/開発の拡大を禁止する措置を講じること
加えて、新会社が、これまで国営事業として享受してきた事業特典により蓄積された圧倒的な市場支配力を乱用することを防止する措置も講じられなければならない。当該措置には、
・4つの郵政事業(窓口ネットワーク、郵便、郵便貯金、郵便保険)を4つの独立した法人に分離すること
・郵便貯金会社・郵便保険会社について早急な「完全民有」を実現すること
・民営化前の既存の郵貯口座・簡保契約を別法人で管理すること
・4つの郵政事業の間の相互補助を禁止するための効果的な方策をとること
が含まれるべきである。
証券市場改革
日米両協議会は、新規産業の創出と安定的な経済成長の実現に果たす証券市場の役割が大きいことを認識し、公正で効率的な証券市場を確立するために日米両国政府が主導権を発揮すべきであると考える。とりわけ、日本においては、超低金利の持続にもかかわらず、個人金融資産の過半が預貯金に留まっており、個人による証券市場への投資が本格化するには至っていない。この状態を解消するためには、5年間の暫定措置とされる証券投資関連所得に対する税制上の優遇措置の更なる延長、金融所得課税の一体化の推進など、税制上の対応が有効である。 また、先に、金融審議会が、日本国内における継続開示書類の作成を英文で行うことを2007年以降認めるとの方針を明らかにしているが、米国企業を含む外国企業による日本国内での資金調達を円滑化するためには、この制度改正を前倒しして早期に実施することが望ましい。
一方、米国においては、証券市場に対する国民の信頼を強化するために、サーベンス・オックスレー法が制定されたが、同法とその関連規則を遵守するために上場企業が大きなコスト負担を強いられている。企業の内部統制手続きについての規定を始め、適切な規制のレベルという観点から見直しを進めることも必要である。
年金改革
両協議会は、日本における少子高齢化の進行を踏まえ、公的年金制度と補完関係にある企業年金制度の充実が、今後さらに重要になると考えている。とくに、2001年10月に創設された確定拠出年金制度の普及は、年金制度充実の観点のみならず、証券市場活性化の観点からも有効である。両協議会は、日本政府に対し、現行の確定拠出年金制度について、既定の見直し期限にとらわれることなく以下の改善を行うことを要望する。
・拠出限度額の大幅な引き上げ
・特別法人税の廃止
・従業員による任意の補完的掛金拠出の容認
・加入対象者の門戸拡大
・確定拠出年金資産の支払要件の緩和
・確定拠出年金間のポータビリティーの拡充
・確定拠出年金運用商品の選択肢の拡大促進
日米社会保障協定
両協議会は、2004年2月19日に、両国政府が日米社会保障協定に署名したことを歓迎する。
同協定は両国の企業並びに派遣員が共に恩恵を受けられるバランスの取れた内容となっている。両協議会は、同協定の発効に向け,両国政府が諸手続きを早急に完了することを強く要請する。
医療のイノベーション
日本並びに米国双方において経済成長の一つの原動力である医療機器産業及び医薬品産業の活性化のためには、製品が患者に提供されるまでの相互に関連した様々な段階における政府の支援が重要である。世界の中でも米国と日本が生物製剤を含む革新的な医薬品を継続的に創製していくことの出来る数少ない国であるという事実に鑑み、国内及び国際的企業が投資しやすく、イノベーションを進める機会作りを、両国政府が継続して着実に実行していくことを、両協議会は推奨する。特に、革新的な研究開発を促すとともに、日米両国における知的財産権施策の強化につながるような基盤整備を更に進めることを推奨する。
とりわけ、両協議会は、日米官民会議と同様に、厚生労働省が設定した医薬品産業ビジョン並びにアクションプランの実施が加速されることを支持するものである。
ヘルスケアにおける基礎的なイノベーションのスピードは加速している。遺伝子工学、先端的な材料科学やインフォーマティクスと言った新しい科学技術は、臨床上及び医療経済上の便益を提供する新しいタイプの製品を生み出し始めている。米国や日本のような先進経済国は、これらの新しい動きを積極的に取り入れていくことで、相対的に高い水準で国民の健康や経済の健全性を維持することが出来る。この観点において、薬価政策は、患者の生活状態を改善するとともに、経済成長をも生み出すような革新的な治療法につながる研究開発と新製品の発売を推し進める主要な要素である。両協議会は、イノベーションの価値をより認識することになるような薬価制度の改革を支持する。加えて、両協議会は、新規医薬品・医療機器の申請・承認に必要とされる時間を短縮するための施策実施を支持する。
また、両協議会は、医療機器及び医薬品におけるイノベーションをどう評価するかという問題は、一国の医療保障政策全体ならびに産業政策との関係において論議されるものである、という認識を示した。
更に、両協議会は、ヘルスケア関連費用をより効率的に使用するため、疾患予防の活用を含めた、包括的なヘルスケアの重要性を強調した。
バイオテクノロジー/食品安全性
両協議会は、持続可能な経済成長にとりバイオテクノロジーの果たす役割の大きさを認識し、ビジネス創出と拡大に資する環境の整備と維持の重要性を確認した。バイオ・ベンチャーの育成、拡大を加速することが必要であり、規制改革によるバイオ関連の事業環境整備が重要である。
両協議会は、農業、食糧、医療および環境などの分野における日米協力を奨励する。バイオテクノロジーに関する基準やルール、および規制は科学的根拠に基づき、透明かつ国際的な整合性を持たなければならない。非科学的な根拠をもとにした規制はバイオテクノロジーの研究・技術の開発ならびに産業育成を阻害し、国際競争力をも失いかねない。
両協議会は、バイオテクノロジーに関する国民の正しい理解の促進が不可欠であり、両国政府ならびに企業の役割がますます重要になることを改めて確認した。
WTO
 両協議会は、WTO一般理事会で新ラウンド交渉(DDA)の基盤となる「枠組み合意」が成立したことを歓迎する。DDAが軌道に戻ったことで、今後2005年12月に香港で開催される予定の第6回閣僚会議に向け、交渉は本格化の度合を深めることになる。DDAの意欲的な目標を達成するには、各国が具体的な障壁削減に前向きに臨まなくてはならない。交渉は容易ではないが、関税並びにサービス分野の更なる自由化は日米経済に広範且つ多大な利益をもたらすことを忘れてはならない。
かかる状況下、日米両政府には世界経済の2大経済国として、新ラウンドの包括合意に向け、緊密な協力体制を維持しつつ、柔軟性とリーダーシップを発揮し、貿易の自由化を一層促進することを強く要請する。
エネルギーと環境
日米両協議会は、すべての先進国と発展途上国が参加できる衡平かつ責任のある体制作りを、日米両国が協力して推進していくことに合意した。この目的のため、両協議会は、両国政府に対し、以下の事項に関して計画立案し実行することを要請する。
・途上国で使用されるエネルギー効率向上のための技術普及を加速すること
・温室効果ガス排出量削減のための適切な手段をとるよう民生部門を支援すること
・省エネルギーのための方策への支援強化
・温室効果ガス削減のための技術革新を促進すること
人材育成
人材の高齢化や雇用の流動化が加速する中、人材育成、特に技能者の人材育成や、次世代へのこれらの技能を伝承するため、有効な施策が取られる必要がある。
各地域の文化やライフスタイルを活かしつつ、かつグローバルに共有できる企業哲学を各企業が持つことが重要である。
両協議会は、日米両国企業の間での活発なディスカッションや意見の交換を歓迎し、また議論が今後も引き続き行われることを推奨する。
情報通信技術(ICT)
日米両国企業における情報通信技術(ICT)投資は積極的に行われてきた。両協議会は、今後とも各企業が一層の競争力強化に向けて、ICTによる経営革新と生産性向上に注力するものと考える。
両協議会は、生産性向上はICTの浸透度がある水準以上に達した経済においてのみGDPの数値に反映されることを認識する。両協議会は、ICT導入による生産性の向上を社会が享受するには、企業レベルのディジタル・デバイドといわれる格差を埋め、社会全体として経済の向上、雇用の創出、利便性の追求等につなげることが重要と認識する。
生産性の向上を享受しやすい環境を作り出すには、両協議会は産学官が協力し、ネットワークインフラの低コスト化、新技術の迅速な標準化、及び最新技術を持つ人材の育成が重要との認識を共有する。
企業レベルにおいては、これまで以上に経営者のより強いリーダーシップや最高情報責任者(CIO)の役割の重要性を認識し、新技術の果敢な導入により、最適なICTの活用を通じて、更なる生産性の向上および競争力の強化を期待する。
来るべきユビキタスネットワーク社会は、人々の生活を豊かにし、生産性の向上をもたらす。両協議会は、ユビキタス社会実現のためには、安心で安全なネットワークを構築する必要があり、情報セキュリティの確保並びに個人情報の保護が最大の課題であることを認識する。
情報セキュリティ確保と個人情報保護には、政府、企業、個人それぞれのレベルで取り組む必要がある。両協議会は、企業は情報システムのプロバイダーであると共に最大の利用者であることから、社内教育などを通じ会社全体としてセキュリティ文化を醸成する必要性があること、また企業間の連携が重要であることを認識した。
両協議会は、両政府がネットワーク構築に最新技術を採用することを奨励するが、現状では技術的対策だけでこの2つの課題を解決することは困難であることも認識する。従い、法的手段での制裁等の対策も必要となるため、両協議会は、両政府に対しサイバー犯罪並びにプライバシー関する適切な法律を整備することを要請する。両協議会はサイバー犯罪法に関しては国際的に受け入れられる規範や慣行に従った形で促進されることを強く勧告する。更にプライバシー法とその実施要綱については、個人を保護するという正当な目的を達する内容にすべきで、同時に企業に過度な負担にならないよう配慮されるべきである。
また、両協議会は、サイバー犯罪とプライバシーに対する個人の自覚と責任も重要であると認識するため、両政府がこれらの課題に関し、公共教育を含めた啓発活動を行うことを奨励する。

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中国

中国経済と貿易の重要性
中国は日米両国の重要な貿易パートナーであり、中国経済は日本と米国にとって主要な成長エンジンの一つである。両協議会はこの貿易が3カ国総てに有益であることに同意するものであるが、その影響については幾つかの懸念が日本と米国において存在することにも注目している。
WTOのルールと義務に充分に合致する方法で、3カ国間の貿易を拡張する更なる方策が極めて重要であり、両協議会はこれらの目的を追求するため、3カ国の政府が率先して均衡の保たれたアプローチをとるように推奨する。
特に、次の項目に関して;
・中国のWTOコミットメント期限の遵守。特に、透明性確保、知的財産権、 サービスにおける市場アクセス分野の期限遵守を遂行するための新たなる努力。
・知的財産権、WAPIと第三世代携帯電話規格、貿易と流通の権利、速達配達サービス、農業のバイオテクノロジーに関してなされたコミットメントに合致する力強い進展。
・中国の規格の策定に際し、一般への周知と意見聴取手続きを含めて、国際的に認識された慣習や方法に合致したオープンで透明な方法をとること。またそれが貿易の妨げとならぬ方法であること。
・政府調達法(Government Procurement Law)を施行する文脈において、商品やサービスの外国の供給者に対する、政府調達部門へのアクセス開放を認め続けること。
・日・米・中3カ国が、互いにかつ世界的に、他国からの商品とサービスへ市場を開放し続けることへの努力を怠らないこと。
・製造分野と経済全般の歪みを除去するため、中国の金融制度をより市場原理に立脚したシステムとするための不断の努力。
外国直接投資(FDI)
中国は外国直接投資(FDI)の最優先の投資先となっている。これは日米両国企業の直接投資にとっても同様である。中国へのFDIは製造業に集中していたが、市場の自由化に対応してエネルギー・発電や金融サービス分野で増加している。FDIは、新しい規則が施行されるにしたがって通信、流通、その他の分野で増加するであろう。これらは現実的な進展であり、中国政府はWTO・TRIMs協定の約束に応じる努力を含めて、FDIの受け入れとその活発な促進に務めて欲しい。FDIの継続的な流入を保証するために、両協議会は以下の点を推奨する
・投資許可プロセスの透明性を高め、投資にかかわる諸条件を投資家にとって明確なものにすること。
・TRIMs協定で合意された内容、取引、或いはその他の要請と矛盾するものを地方政府が定めないように中央政府と地方政府間の調整を改善すること。
知的財産権
両協議会は中国政府が知的財産権の保護を改善し、WTOとの約束を履行するための法律や規則の変更に真剣に取り組んできたことを良く承知している。しかし、海賊版のソフトやオーディオ・ビジュアル製品、特許や商標の侵害、様々な分野での模造が依然として続いており、国内外の企業に深刻な打撃を与えている。更に、知的財産権の権利侵害は貿易取引や外国投資を躊躇させ、中国自身のみならず他国の公衆衛生や安全すらをも危うくしているといえるかもしれない。
両協議会は以下のことを推奨する。
・投知的財産権やその保護の重要性、これに違反した場合に中国法によればどのような結果を招くか等、知的財産権への一般大衆の認識を高める啓蒙活動。
将来、中国がグローバルにどのような競争力をもつかは、違法に模倣したり真似をするのではなく、中国企業自身が固有の商品開発や技術の革新を進める能力に依存している。こうした一般大衆への啓蒙努力に関して日米企業が中国に協力できる機会は多く存在している。具体性があり、あらゆる形態の模造品や著作権侵害の実質的な減少が検証できるような、中国政府の全てのレベルでの知的財産権の強力な執行。
これには、企業環境でのソフトの不正使用を含む、模造品や著作権の侵害を強力に防ぐ行政・刑事執行機関の永続的で目に見える効果的な厳重取締りなど、中国政府の最高レベルからの明確な指令を必要とする。
また、刑事執行機関の財源や人員等の増強や知的財産権の執行に携わる当局間の緊密な協力関係も要請される。
・有体物やデジタル形状の海賊品や模造品の製造、流通を行った者への効果的な罰則の適用。これには、刑事責任を問われる最小限度の要件のしきい値を低くすること、刑事責任の有無と程度を判断する方法を明確化すること、「有体物たる証拠」に関するプロセスを改善すること、刑事執行手続の透明性を高めること、などを含む。
・消費者がデザインの模倣や製品の製造元を誤認したり混同しないように、不正競争法に基づく法的保護の改善。
・出願中の特許であって侵害されたと認められるものについて、中国各省の知的財産事務所(State Intellectual Property Office)における迅速化された審査手続を導入すること。
・特許審査が、より透明性があり明確で国際標準に適応する方法で行われること。
・模造品や海賊版の輸出を違法とすること、中国知的財産関税保護規則(PRC Intellectual Property Customs Protection Regulations)の完全な実行、他国からの税関当局との協力の強化、必要となるコンピューターを使用した補足システムへの投資などを含む、税関における執行の強化
環境保護
両協議会は、中国及び同地域で空気汚染、水質汚染、廃棄物汚染が深刻かつ大きな問題となりつつあること、及び中国政府がこれら各種の排出を減らすことでこの問題の緩和策を進めていることも認識している。
両協議会はこの問題解決に向けて、公害防止技術の最大限の活用を含め中国政府が我々民間企業と協力し、環境と経済のそれぞれの目的が適切な調和を保つように中国政府に推奨する。
とりわけ、
・現中国の法律や規則を遵守している企業と政府との関係改善を図りつつ、規則を遵守し、公害防止にコストをかける企業が規則を守らない企業「ただ乗り企業」に対して不利にならないようにすること。
・当局のウェブサイトや電子メールなどによる通知を通して新しい法律や規則が分るような透明性の確保と情報の活用。
・例えば化学測定に関する新SEPAプログラムなど、新しいルールやコンプライアンス上の論点を企業に伝える政府関係機関によるトレーニング・プログラムの充実。
・環境リスクに優先順位を付けることにより不足がちの環境管理リソースの最大有効活用を図る。
例えば、低リスク施設への評価や許認可の一貫性確保。
・より清浄で効果的な民間企業の技術の提供は一段高いレベルの環境規準と温室効果ガスの削減を可能にする。

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